アドバイザー
大江 弘 |
書店には、「○○すればお金が儲かる」「○○さえ学べば必ず成功できる」というような
ハウトゥー本がたくさん並んでいます。ニーズがあるから出版され、
書店に置かれているのでしょうが、お金を儲けるというのはそれほど大切なことでしょうか。
また、そこでうたわれている成功とはいったい何を指しているのでしょうか。
おそらく多くの人が、そうした本質的なことを問わないまま、
それらの本を手にしているにちがいありません。
私は、ここにこそ今日のわが国における教育の根本的な問題が
あるように思います。
特に近年の教育は、ともするとスキル教育ばかりに偏りがちです。
たとえば進学塾や予備校、あるいは企業内研修も、どちらかといえば本質的な問題より
スキルに重きをおいています。
“親や学生、企業の人事担当者らが求めているからしかたがない”たしかにそうでしょう。
しかし、そのようなあり方でほんとうに教育の使命を果たしているといえるのか、
大いに疑問です。
やはり、人間としての成功とは何か、私たちが真に求めるべきもの、求めているものは何かなど、
本質的な問題についての学びなくして真正な教育とはいえないと思うのです。
いかなるジャンルの教育においても、私は、まず問われるべきは何のための教育かという
本質的な問題でなければならないと考えています。
これは、教育にかかわるすべての人が、折に触れて省み、
求めていかなければならない永遠の課題ではないでしょうか。
経歴
1986年、富山大学文学専攻科哲学コース修了。
同年、PHP総合研究所に入社。
普及部、研究本部第一研究部、研修局研修部を経て、2000年3月から総理大臣の
私的諮問機関「教育改革国民会議」担当室主幹として教育改革に携わる。
01年2月、第一研究本部松下理念研究部主任研究員。
05年9月〜07年3月、枚方市「教育のあり方を考える懇話会」委員(副座長)。
現在、経営理念研究本部教育研究部長兼研究事業部長および親学推進協会常務理事、
京都府子育て支援対策協議会委員。
松下幸之助や親学に関する書籍・雑誌等の原稿執筆、研究会の立案と運営、
あるいは講演・研修など、幅広く教育活動に取り組んでいる。
研究分野は、松下幸之助の経営観、宇宙観、人間観、人生観、宗教観、死生観、
また親学を中心とした教育問題。
◆主な論文・論考・編著作など
- 「《特集:親学とは何か?》親も学ぶ、親も成長する 親学への取組み」
(家庭教育学会会報誌『家庭教育フォーラム』第19号、08年12月) - 「松下幸之助―人生後半を生きる言葉」(『ほんとうの時代』08年9月号〜)
- 「<PHPからの主張>親も成長する時代」(『Voice』08年9月号)
- 「親が変われば子どもが変わる!――『親学』のススメ」
(公明党機関紙『公明新聞』08年1月〜6月) - 「変わる6・3・3教育 中高一貫教育の展開」
(『Nasic Release vol.11』05年) - 「松下幸之助 繁栄、平和、幸福のための宇宙観」
(『論叢 松下幸之助』第1号、04年4月) - 「道徳こそいちばんの基礎――松下幸之助の教育観と教育改革国民会議の提案」
(『松下幸之助研究』00年秋季号) - 『親学アドバイザーの手引き』(PHP研究所 07年1月)
- 『「親学」の教科書』(PHP研究所 06年12月)
- 『企業人としてのコンプライアンス』(PHP研究所 03年1月)
- 『なぜ働くのか』(PHP研究所 02年6月)
- 『企業人の行動規範―正しく仕事をするために―』
(PHP研究所 00年2月)